鋼材
庖丁の刃に使用される鋼材にもいくつか種類がありますが、釜浅商店では切れ味が持続し、比較的容易に研ぎ直しが出来るステンレスとハガネの庖丁を取り扱っております。
ハガネ
ハガネはステンレスに比べ、割安で研ぎ易く、独特の切れ味の良さが特徴です。刃物としての利点は多いのですが、サビやすいという大きな難点があります。
刃が濡れた状態で5分も放置すればサビてしまうので、料理中にもこまめに刃を拭くことが必要です。
ステンレス
ステンレスはハガネと比べ錆びづらくお手入れがしやすい良さがあります。
年々、ステンレスの鋼材も進化しており、釜浅商店で取り扱うステンレスの包丁は、切れ味もハガネと遜色ないレベルとなっています。
お値段はハガネに比べて若干割高ですが、お手入れが楽なので、プロの方も含めステンレスの包丁を選ばれる方も増えています。
刃の構造の違い
和包丁
魚を捌く、刺身を引く、桂むき
和庖丁は魚を捌くための「出刃庖丁」、刺身を引くための「柳刃庖丁」、大根のツマを作る時にかつら剥きをする「薄刃庖丁」というように、一本の庖丁をそれぞれ決まった用途に使うように作られています。
さらに、同じ用途の庖丁でも地方によって形が違うこともあります。
刃は表側の片方にだけ付いている【片刃】で、食材の断面を美しく仕上げることができます。
- 霞
霞は一般的な和包丁に多く、硬い刃材と柔らかい地金を組み合わせた構造をしています。
比較的研ぎやすく、本焼きに比べお求めやすいです。
- 本焼き
一枚の刃材でつくられた包丁のことを指します。
熟練した鍛冶職人のみが鍛造でき、高度な技術を要します。
霞と比べ欠けやすく研ぎづらいく注意が必要ですが、美しい切れ味と切れ味の持ちが特徴です。

洋包丁
肉、野菜、魚の切り身を切る
洋包丁は明治以降、西洋料理の伝来とともに日本でも使用されるようになりました。
ほとんどの洋包丁は、刃が表と裏の両方に付いている【両刃】で、肉、野菜、魚など色んな食材を切りわけやすい作りになっています。
現在、多くの家庭で使われている「三徳」や「牛刀」も洋包丁です。
洋包丁の中にも、野菜専用の「菜切り」や、肉の筋を引く「筋引き」など、用途に合わせて作られた専用包丁もあります。
- 一枚鋼材
全てが刃になる鋼材で構成されています。
ほとんどの1枚鋼材は表側の刃を多く研ぎ、右利き用、左利き用とに分かれます。刃付けの割合が違うことで、切る際に刃が食材の内側に入り込み、食材離れがよいという特徴があります。
刃付けの割合を自由に変えることができるので、片刃にするなどお好みに合わせた刃付けが可能です。
- 割り込み、ダマスカス鋼
真ん中に硬い鋼材を使い、両脇から柔らかい鋼材で挟み込む形で作られています。
刃付けは5対5の均等につけれらることが多く、両利き用としてご使用いただけます。
ダマスカス鋼は割り込みと同じ作り方で、両脇の挟み込む鋼材が積層になって木目のような縞模様が特徴です。

産地

- 大阪府堺市
- 大阪府堺市堺市の包丁づくりは、5世紀に日本最大の古墳「仁徳天皇陵古墳」を作るために多くの職人が集まったのが始まりとされています。
堺市で作られる包丁は、その品質の高さと切れ味の良さで全国的に有名となりました。
堺市の包丁の特徴は「鍛造」と「片刃」にあり、鍛造は刃の密度と耐久性を高めることができます。
日本刀と同じ構造を持つ独特の片刃包丁は、食材を美しく切り、世界の料理業界でその名を知られることとなりました。
- 岐阜県関市
関市は、700年以上前から刃物づくりが行われてきた歴史があります。その昔、関市は鍛冶職人にとって最適な環境とされ、多くの熟練工が集まった結果関市で作られる日本刀は、その耐久性と切れ味で全国を名を馳せました。
現在では、その卓越した技術が刃物製造に受け継がれ、関市は世界有数の刃物産地として知られています。
- 福井県越前市
越前市での刃物づくりは、14世紀頃、京都の有名な鍛冶屋が移り住み、近隣の農民のために鎌や刀をつくり始めたのが始まりとされています。
越前市で作られる包丁は、越前打刃物と呼ばれ、美しい薄い刃と切れ味が長持ちすることで知られています。
お手入れ
ハガネ
ハガネは非常に錆びやすく、刃の濡れた状態が5分でも続くとサビが発生します。使用中は布巾等でこまめに拭くことが大切です。
サビは時間の経過と共に奥に侵食していきます。早い段階のサビは、クレンザーをつけたコルクで落とすことができます。コルクでも落とせないサビは、サビ消し等の専用道具を使用しましょう。
湿気が多い所ではサビが発生しやすいので、シンク下などの湿気が少ない場所に保管し、使用頻度が低い場合は刃に油(刃物油や植物性油)を塗り新聞紙等で包んで保管しましょう。
ステンレス
ハガネと比較するとサビづらくお手入れがしやすい鋼材ですが、サビないわけではありません。
洗い終わったあとは、しっかり水気を拭き取りましょう。
刃先にサビが出た場合は簡易研ぎ器を使って取り除きましょう。
包丁の上手な選び方
釜浅商店ではお客様ひとりひとりに合った包丁をご案内したく、手に取って選んでいただいております。
釜浅商店が取り扱う包丁には、ご家庭向けの万能包丁にはじまり、プロの料理人が使う専門的なものまでさまざまな包丁を取り揃えています。
同じ種類の包丁でも、産地や作り手がかわることで刃の形状や大きさ、重さも少しずつ異なります。
また、柄の太ささも異なるので、人それぞれ握り心地も1本1本異なります。
合羽橋店とパリ店では実際に握っていただくことで違いを感じていただき、ご自身に合う包丁を選んでいただいております。
オンラインショップでは実際に手に取っていただくことはかないませんが、
使うシーンや刃持ちの違いを知っていただきご自身に合う包丁を選んでいただきたと思っております。